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世代間の抗争と為替相場

一本調子で2022年の春から始まった円安の動きが止まるのだろうか?

1ドル115円程度だった為替相場が、つい先日まで160円を超えて30%近く円の価値が失われてしまっていたが、為替相場への介入があったのか156円台と少し戻ってきている。 ドル建ての資産を得ていて、しかも、昨今の好調な株式相場を受けて、それなりの利益を得ている人は多いだろう。特に高齢な投資家であれば、これを機会に利益確定売りをすれば、

  1. 為替差益による利益の確定
  2. 好調な株式市場に伴う利益の確定

とダブルの恩恵を受けることができる。

ドル建てで、最近の好調な株式市場にそれなりの資金を投下しているご高齢の方ならば、今がチャンスと利益確定売りをするのは当然かもしれない。そしてあとはリスクは負わずに、債券などで安全性の高い投資の割合を増やすリバランスをして、悠々自適に暮らせるようになっているかもしれない。

その一方で、日本の繁栄を知らない若い世代は、強い円の時代が到来することは実感できず、教科書にあるプラザ合意後の急激な円高と逆の現象がまさに起きていて、1ドル250円の時代に戻るのではないかと考えているかもしれない。

そのような視点に立つと、今の状況でもまだ十分な円高の状態で、コツコツ資産を外貨に移していこうと、プチキャピタルフライトを実践している人もいるだろう。仮に、250円までさらに100円近く円安になるのなら、今からでも少しずつドル建ての資産を増やす努力をするだろう。

そういう、同じ局面で背反するスタンスで投資をする人が、日本にいるような気がしてきた。

私は、まだ50そこそこなので、後者の考え方だ。
特にここ最近、今の円安の動きは、プラザ合意後の円高の始まりの逆をいっているのではないかとの思いが強くなってきた。

為替の動きは、日米間の「金利差」が主要因だというのは理解している。だが、あまりにも競争力を失った日本の産業界を見るにつけ、AIにしても、IT関連にしても、電気・電子分野にしても、電気自動車(EV)の世界動向を見ると、どうにも日本が勝つというシナリオを信じることが難しい。

第二次世界大戦の末期と同じように、とことん負けるまで日本は変わらないのではないか、団塊の世代からバブルの世代が退場しないと、過去の栄光に引きずられているだけで何も変われないのではないかとの思いが強い。

そんな過去の遺産で生きていける海外資産を多く持つ勝ち組と、基本は日本の没落を見越してのキャピタルフライト的な海外資産を中心に資産形成をしようとする生き残りを賭けた若年層。これら二つの世代間の抗争の拮抗状態が、為替相場の動きの背景に出ているのかもしれない。

まあ、規模はそこまでないかもしれないので、想像する分には面白そうなだけなのかもしれない。